2012年5月4日金曜日

「小」のつく者が日本をだめにする

陽明学者で思想家の安岡正篤の書物を読みました。自民党大物宰相のアドバイザーとして活躍された人で、吉田茂や佐藤栄作などは彼に師事しています。

 その書物は「安岡正篤一日一言」といういので、安岡氏が発した言葉を、カレンダーにして、毎日ひとつの言葉を載せているものです。その中で2月11日の欄には「日本の危機の一原因」と題してあります。

 日本の行きづまりを危惧する内容で、戦後の急速な復興に気を良くして「小」のつく者がはびこったことが日本をだめにしていると書いてあります。この「小」のつく者とは、小利口者、小才子、小ずるい輩、小悪党と言っています。面白いですね。

 これに対しておっとりとした、思慮あり、情ある、真面目で勤勉な、頼もしい人間でなければならないと人が好まない、人が信用しないと書いています。これから日本人は心を入れ替えて人間を修養し、生活を正し、事業を興さねば、益々怪しくなると書いています。

  インターネットと言う便利さと引き換えに人間性を捨てた現代と、だれかが今の世の中を皮肉っていましたが、今私たちに求められているのは、この人間臭さなのかもしれませんね。「小」のつく者とは、実に面白い表現です。