2009年2月24日火曜日

厚生労働省の年金に関する検証、本当にあきれてしまいます

 2月23日に開かれた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会で、5年に1度実施する公的年金の財政検証の結果を見てあきれてしまいました。新聞報道によれば、現役世代の手取り収入に対する厚生年金の給付水準(所得代替率)は2038年度に50.1%となり現在より約2割低くはなりますが、それ以降は固定されると試算し、2004年の年金改革で政府・与党が公約した「現役世代の5割確保」は辛うじて達成できると報じています。厚生労働省が発表した内容ではです。まさに小泉政権化での「100年安心プラン」です。
 報道の内容は、ホームページ内「これからどうなる社会保障制度(http://www.fp-cafe.net/#10)にも書きましたが、とにかく検証の前提となる数字がむちゃくちゃです。おそらく誰もが「そんな馬鹿な」とつっこみたくなる物ばかりです。
 どうしても、年金支給額を現役世代の「50%」に保て起きたいと言うことが見え見えのもので、現役のモデル世帯の月収が、現在の平均手取月額35万8,000円が,2038年には71.6万円になるそうなのです。だから今の平均支給額(モデル世帯)は月22万3,000円ですが、現役世代の月収からの比率は下がりますが、支給額は2038年には35.9万円になると厚生労働省は言っています。
 この数字の根拠は、お給料は年2.5%ずつ昇級することが前提です。日本のどこの企業がこの数字を維持できるのか、どこにそんな企業があるのでしょうか。さらに笑っちゃうのが、積立金の運用利回りはなんと年4.1%で計算されています。来年から世界経済は良くなるという前提です。厚生労働省はたいしたところで、世界経済を来年から立て直してくれるそうですよ。ここまでくると笑いを通り越して、馬鹿にしているのかとあきれてしまいます。
 これには基礎年金の国庫負担割合を1/2に引き上げることが前提となっていますが、その財源は霞ヶ関の埋蔵金を使うことになっていて、刹那的な対策により支えられているものです。さらに、ご丁寧に、この「1/2」が実現できない場合は、2027年度に国民年金の積立金が枯渇するとの見通しを示しています。消費税率を上げるのは仕方がないことだと言わんばかりです。間接的な脅し、脅迫です。
 そもそも「モデル世帯」というのがくせ者で、40年間お勤めしているご主人に、学校を卒業して一度も働かない専業主婦歴40年の奥様というカップリングです。日本全国、そんな世帯どれだけいるんじゃいと言いたいです。不況の最中、いかに家計を支えるかで、奥様も働いておられる家庭がに実情をどう考えているのでしょうか。
 年金制度を維持し、希望を持たせたいというのはわかりますが、あまりにも現実離れした検証を、私たちの税金を使って談笑しているのかと思うと腹が立ちますね。