2009年1月7日水曜日

札幌市内歯医者さんは診察料がタダ?

 NPO法人のアンケートに答えれば診察料は無料――。札幌市内でそんな歯科医院が登場しているそうです。朝日新聞で報じられています。これまでに延べ3千人の患者が「無料診察」を受けたといい、札幌歯科医師会は「患者本人が診察料の一部を自己負担しなければならない」とする健康保険法に違反する可能性があると反発しているそうです。
 問題となっているNPO法人は札幌市中央区にあり、医療・介護サービスなどを受ける人を支援するために設立され、この法人の理事長は、歯科医院を経営する医療法人の理事長代行も務めているそうです。
 診察料が無料となる仕組みは、NPO法人の会員は、NPOの事務所と同じビルのフロアにある歯科医院で受診後、医療費の自己負担割合などを尋ねるアンケートに答え、診察料の1~3割にあたる自己負担分と同額の「労務料」をもらうことで、結果、診察料がタダということになります。
 NPO法人会員の条件は、健康保険証を持っていて年収520万円以下であることで、条件を満たせば誰でも会員になれるそうです。 現在の会員数は6千人で、他の患者からの苦情などはないということです。
 ただ、NPOが、診察料の本人負担分を肩代わりすることで患者を集め、医療法人は診療報酬を受け取れるという一体の関係を指摘する見方もあり、厚生労働省の担当者は「初めて聞くシステムだが、NPO法人と医療法人が事実上一体化していると見なされれば健康保険法違反になる」としており、道や札幌市も立ち入り調査を実施したそうです。 NPO法人にとって、患者の自己負担額を肩代わりするだけで何の利益もない。理事長は「うちは生活弱者を救済するために歯科医療費の自己負担を支援している。医療法人とは、まったくの別物だ」と話しているそうで、この結末は実に興味深いもので、注目したいです。